機械化で余った労働者の行く末

日経ビジネス2018.01.22に、AI社会の進展の結果、人間の仕事がなくなることに関してのエコノミスト論評が書かれている。

ロボットはパターン認識力を伸ばしており、自動運転や病気の診断において、人間の能力を超えるのは時間の問題だ。
力仕事や単純作業だけでなく、知的作業や高度技術においても、ロボットが人間の仕事を奪おうとしている。
ロボットが高度化すれば、資本家がロボットを使って大儲けし、ロボット技術者が高給で雇われ、それ以外の人間にはロボットでは割の合わない単純作業しか残らないのかもしれない。
ビルゲイツはロボット税の導入を提案し、イーロン・マスクが全ての人に一定の所得を配分するベーシック・インカムを提唱している。
しかし、そうなると人間は何のために存在するべきなのか、という哲学に行きつく。
人間は社会を形成して、道具や機械を発明・利用することで進化を遂げてきた。
しかし、人間が作り出したAIロボットによって、存在が脅かされている。

かつて合理化が追及されたときに、単純作業や希頻度高度技術を業務委託化することによってコストを大幅に下げた。
しかし、その結果、技術の継承も改善も行われることがなくなって進歩が止まり、環境の変化にも対応できなくなり、縮小均衡が始まった。
逆に、委託を受けた台湾企業などが、巨大化するとともに、技術を習得して、新しい製品を生み出していき、かつて委託した企業は淘汰されていった。

ロボットは自分で学習してそうだが、現在の人間社会の損得のために、ロボットに仕事を代替させると、人間の進化が止まって、やがて淘汰されてしまう運命にあるのではないだろうか。

監視社会

日経ビジネス2018.01.29に怖い記事が載っていた。
「監視社会と消えたぼったくり犯」

中国ではAI(人工知能)と顔認証などの技術を使った監視社会が実現しつつあるという。
何と、監視カメラが1億7千万台設置されており、2020年までに6億台になるという。
誰がどこに行ったかという行動が追跡され、データセンターに記録される。
同時に、ネットや電話もすべて傍受され、お金の流れも金融機関を通じたものはすべて把握される。
犯罪行為は極めてやりにくくなるばかりでなく、現政権に批判的な行動もすべて監視されているのだろう。
きっと企業の不正も、AIが金の動きを監視することで、簡単に見つかってしまうのだろう。
ガバナンスが強化されると喜ぶべき事なのか、自由度がなくなってしまい、誰も本音を言わなくなり、社会が萎縮していくのではないだろうか、と心配するのは杞憂なのだろうか。
しかし、2020年東京オリンピックに向けて、日本中の監視も大幅に強化されている。
中国の話ではなくなりそうな、どこに行っても住みにくくなる昨今の監視社会だ。

国の形

スペインのカタルーニャ地方が独立しそうだ。
州民選挙で圧倒的多数で独立が支持され、独立宣言することになるようだが、スペインは容易に認めないだろうからこれからすったもんだするだろう。
なぜ独立するのか、そして国とは何なのか。

明治時代の中頃、富山県は石川県の一部だった。
富山地域は急流河川が数多くあり、大雨が降っては大洪水が発生して家も田畑も壊滅状態になり、収支的には大赤字の状況だった。
石川県は道路整備を優先して洪水対策の予算をなかなかつけようとしなかったため、富山地域は独立して予算を自由に使えるようにした。
そして洪水対策としての数年分の県予算を治水事業につぎ込むとともに、治水事業と発電事業と観光事業を一体に行う富山地方鉄道を開設して、安全で豊かな富山県を作っていった。

国とはそもそも何なのか。
人間は仕事を分業することによってさまざまなものやサービスを生み出す社会を形成することによって非常に効率的な生活を営んでいる。
そのため、国や県・市などの行政単位は、ある程度の大きさを持つ必要があり、明治21年には71,314もの市町村があったそうだが、「明治の大合併」によって15,859になり、「昭和の大合併」によって3,472に、さらに「平成の大合併」によって1,821に統合された。
私の住んでいる富山市も、平成17年に、富山市(旧市)、大沢野町、大山町、八尾町、婦中町、山田村、細入村の7市町村が合併し、現在の富山市が発足した。
昔に比べると道路などの整備が進んで都市間移動時間は圧倒的に短くなり、インターネットの普及によって役所に行かなくても社会手続きは済ませられる技術が進歩したため、行政単位はより大きくしたほうが効率的なのだろう。
市長や議員の給料、病院や学校、葬儀場など公共設備の運営コストは行政単位が大きいほど有利になる。

しかし、先の富山県が石川県から分県したように、100人のうち80人が同じ考えを持っていても、300人の組織の中に入ると80人は少数意見となって否決されるため、意見が対立する場合は考え方の近い人たちで独立運動を起こすことになる。
7つの市町村が合併して出来た富山市でも、富山駅周辺の開発は進んでいるが、各町村それぞれにあった文化ホールが休廃止されるなど、必ずしも全員が合併して良かったと思っているわけではない。
大きな組織とすることによる効率化と、自分たちの考え方や生活文化の違いによる線引きとを天秤にかけて、国や行政区域が決まっていくのだろう。

ただ、世界を見渡すと、そういった最適な形を目指して国が形成されているのではなく、力でねじ伏せたり、宗教による対立が続いていたりと、国の成立ちと言うのは非常に複雑な状況だ。
スペインのカタルーニャ地方は、経済規模がポルトガルやフィンランドを上回り、言語もカタルーニャ語を使っているなど特有の文化圏を形成している。
経済的規模からも文化的な違いを見ても、独立運動が起こるのは必然に思えるが、スペイン国内にはバスク地方の独立運動も根強く、カタルーニャの独立を認めると他への波及が起こるのは必然であり、スペイン政府は独立を問う住民選挙への弾圧や、自治州としての自治権の制限などの圧力を強めて、独立を回避しようとしている。
国際的にもイギリスにおけるスコットランド、セルビアのコソボ、イスラエルのパレスチナなど多くの独立運動が続いている。
国や行政組織の形は、いろいろな要素によって、これからも絶え間なくダイナミックに変わっていくと考えた方がよさそうだ。

忖度

コトバンク(大辞林 第三版)によると、忖度(そんたく)とは、「他人の気持ちをおしはかること。推察」とされている。
上司が直接的には言わないが、状況から判断してこうして欲しいのだろうなと、本音を推し量って行動することは、日本のあたりまえの風習であり、ある意味の美徳とされてきた行動だと思う。

ところがその常識は日本ガラパゴスの常識であり、外国の人に理解して頂くのは困難なようだ。
記者会見で忖度を次のように説明されているようだ。
When he said he was doing “sontaku”, that something done by people around him, and not by Abe. “Sontaku” is not a word that you use by yourself. When you say “sontaku,” Abe is probably, people around, or you know, people who are underlings of Abe.
「忖度」という言葉で表現しようとしたのは、安倍首相によってではなく、安倍首相の周りにいる人々が、何らかの手を加えたということです。「忖度」というのは自分自身で何かするという時に使われる言葉ではなく、安倍首相の周囲の人間、もしくは子分の人間が何かしたという意味になります。

Just to add as an interpreter’s note, the word “sontaku” is leading to some confusion in the English translation. There are several different ways to say this; whether it’s “conjecture” or “surmise,” “reading between the lines,” “reading what someone is implying.” So there is not one direct word in English which is what lead to this, just to add some information.
通訳からの情報として付け加えますが、「忖度」という言葉が英語通訳で少々混乱を招いているようです。何通りかの言い方がありますが、「conjecture(推測)」「surmise(推測する)」「reading between the lines(行間を読む)」「reading what someone is implying(誰かが暗示していることを汲み取る)」などがそれに当たります。英語で「忖度」を直接言い換える言葉はありません。念のため申し上げました。

Aの本音を忖度してBがCに違法な事を指示した場合、もちろん罪に問われるのはAではなくBだが、それをトカゲのしっぽ切とも言う。
今までの日本文化では当然の行為だが、自分の身を守るためにも、忖度して違法な事をやらないように、日本の文化や風習を変えていかなければならない。

ところで、今回の森友学園や加計学園の問題では、何が違法なのか今ひとつ分からない。
獣医学部の新設が数十年ぶりで、他にも申請した所があったが認められなかった、というが、巷の情勢変化を判断して数十年ぶりに対応を変えるのは当然の事であり、他の申請は要件を満たしていなかったから却下されたと聞く。
野党は忖度を追求して貴重な国会審議時間を浪費するのではなく、何が違法だったのかをもっと明確にする必要があるのではないだろうか。

インフルエンザ

情けないことにインフルエンザに罹患してしまいました。
のどが痛くなり微熱もあったので早く休み、次の日にある人と電話していていたら、「それはインフルエンザの検査をした方がよい」と言われて病院に行ったところ、見事にA型と診断され、別室に連れて行かれました。
それからは、39度の熱、頭痛、鼻水、下痢、倦怠感とあらゆる症状が襲います。
病院では「インフルエンザに効く薬はない」と言われ、症状が悪化することの無いよう薬を吸入しただけで、治療薬は渡されません。
家庭の中でも個室に閉じこもり、ひたすら自力で回復するのを待つだけです。
発熱から4日目で、ようやく平熱に戻り、それから2日も自宅待機、今日ようやく禁足が解けます。
どこで拾ってきたかわかりませんが、皆さんもどうぞうがいと手洗いとマスクで予防ください。

さて、今回重大なミスがあります。
①何十年と予防注射をしてきたのですが、しても効果がないといったネットでの書き込みを見て、今期はしませんでした。
リスクはいつ発生するかわかりません。ウイルスは虎視眈々と隙間を狙ってくるのです。

②自分からは医者での検査を受けようとしていなかった。
のどの痛みから来た微熱だと思っていましたから、医者に行くつもりはありませんでした。行っても「インフルの検査をしてください。」と申告したから検査しましたが、言わなかったらその日は見過ごしていたかもしれません。
人に会うスケジュールが立て込んでいましたので、多くの人にウイルスをばらまいていたことでしょう。

インフルエンザ菌は何を目的に頑張るのでしょうか。
それは、人間も含めたどの生物の目的と同じく、「自己組織の増殖」でしょう。
よく、「風邪は他人に移せば治る」などと、酷いことが信じられていますが、ウイルスの目的は大いに達せられるわけです。
ウイルスは、空気中を含めてどこにでもいます。ぜひ、しっかりと対策して防いでいきましょう。

最後に蛇足ですが、企業活動にたとえてみます。
①予防注射  組織内への警告を発し、予防体制を作る。
②マスク装着 外部からの侵入をシャットアウトする
③うがいと手洗い それでも侵入してきたモノを排除する
④隔離     他組織への影響を排除する
⑤安静     自己治癒能力の向上により影響を抑え込む

ご迷惑をおかけした皆様にこの場を借りてお詫び申し上げます。

プロフィール

新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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