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修羅場の経営責任② 国広正著

「修羅場の経営責任」 国広正弁護士著を読む。

長銀破綻の真実
・1999年6月10日日本長期信用銀行の頭取、副頭取が粉飾決算の疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。
・国広弁護士は副頭取の弁護人を依頼され、山一と全く逆の立場になるが、引き受けた。
・1990年バブルが崩壊し、どの銀行も不良債権処理に苦しんだ。
・1998年金融システムの崩壊を防ぐため、金融再生関連法案が成立した。
・東京地検は「長銀の不良債権化した貸出金に対する引当・償却が不足していた」として立件した。
・副頭取は銀行を破綻させた経営責任については認めたが、会計処理については「公正な会計慣行」によると説明。
・特捜検事は「この捜査は国策捜査なのだから争っても無駄。潔く認めて署名せよ」と、関係者に迫った。
・「国策捜査」とは、国家がターゲットとした人物に何としても犯罪を見つけ出そうとし、政治事件を作り出す事。
・1998年3月期は「早期是正措置制度」の対象となる最初の会計年度であった。
・特捜は、長銀が制度に基づいて処理していないと主張。1審、2審もそれを指示し、有罪判決が出た。
・しかし、制度をソフトランディングさせるために必要な、税効果会計や公的資金投入は1999年以降。
・よって当時の会計慣行は新制度ではなく、従来の「税法基準」に拠っていた。
・弁護士は、「罪刑法定主義(事後法による処罰の禁止)」につながる重大な問題と主張し、最高裁で無罪に

これは最近の小沢氏の判決と構図が似ている。(特捜部を弁護士、検察審査会を特捜部と読み替えれば)
・2010年1~2月東京地検特捜部が小沢議員の秘書を逮捕し起訴。(小沢議員は嫌疑不十分で不起訴処分)
・4月検察審査会が「起訴相当」と議決 (検察審査会は無作為に選出された有権者11名で構成)
・5月特捜部が再び不起訴処分
・10月検察審査会が再び「起訴議決」
・2011年1月検察官役の弁護士が小沢議員を強制起訴
・2012年4月東京地裁が無罪判決、指定弁護士が控訴
・2012年11月東京高裁が無罪を支持する判決、指定弁護士は控訴断念

陸山会は政治資金収支報告書を提出しているが、
・土地取得に関する資金寄付の記載がない事
・資金源がダム工事受注会社だとする疑念
・個人資産の寄付とすれば制限超過ではないか
などが問題とされたが、政治資金管理団体は土地の所有を禁止されたのは平成19年で、陸山会の取得は平成16年なので問題はない。
また、報告書の記載漏れはよくある事で、資金源を特定する証拠も不十分だった事から特捜部は不起訴とした。

しかし、検察審査会は、法に照らして有罪か無罪かを判定しているのではなく、素人としての善悪判断から「起訴相当」としたのではないか。

国広弁護士の別の著書「それでも企業不祥事が起こる理由」に
「危機的状況の企業は弁護士の法律意見にしがみつくな」とある。
法の遵守だけでは裁判には勝てても、社会的要請に応えていなければ世間は許してくれない。
という事なのだろう。
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それでも企業不祥事が起こる理由 國廣正著

「それでも企業不祥事が起こる理由」國廣正弁護士著を読みました。
現在多くの企業で行われているコンプライアンス活動の問題点を指摘し、真に効果のある活動を提案されており、身に染みて納得する内容だ。

コンプライアンスとは
・コンプライアンスは単なる法令遵守ではない。
・危機的状況の企業は弁護士の法律意見にしがみつくな。
・大切な事は「企業はどう行動すべきか」という社会的要請に従った行動
・企業に対する社会的要請は時代とともに変化する。

形式的法令遵守によるリスクトレードオフ
・多くの企業では重箱の隅をつつく「形式的法令遵守の強制」が、コンプライアンスの名のもとに横行している。
・「アリバイ作り」 コンプライアンスのためと称する書類作成が膨大になった結果、残業が増大した。
・後ろ向きの形式主義的対応が現場を疲弊させ、役職員の士気・プライドを低下させている。
・このような状況が倫理観やプロ意識を劣化させ、新しい形の不祥事を発生させる土壌になる。

ハインリッヒの法則
・どの企業にも規模の大小はともかく、必ず事故や不正は存在する。
・「あってはならない」という呪縛は、大きな事故の前兆である小さな事故を隠すようになる。
・リスク管理を考えるときは、リスクの存在を認めた上で、それを出来るだけ減少させる。
・それにもかかわらず存在し続けるリスクを制御する事が、リスク管理。
・ハインリッヒの法則 一件の重大事故の背後にかすり傷程度の事故が29件、ヒアリハットが300件存在する。ボヤで騒げ!

対策など
・「不正行為は絶対に許さない」「不正は必ず発覚する」「不正行為は会社にとっても本人にとっても致命的な結果を招く」というメッセージを明確にする。
・危険を完全に排除して子どもを無菌状態で育てるのは、未来の大事故を準備しているようなもの。

確かに、内部統制の強化によって、管理者がきちんと確認したと言う証拠を残す事が求められ、管理者は形式的な処理に忙殺される。
その結果、管理者は職場で対話したり、部下を教育したりする時間が取れず、別の重大な事故を招きかねない。
内部統制とは、会計士にお墨付きを貰って東証に報告するためにやっているものでは決してない。
今一度、コンプライアンスの在り方について考えさせられる好著でした。

社外役員と常勤社内役員

月刊監査役2月号に田中教授が書かれた「新任監査役のための早分かり会計講座(上級編)上」について次のメールを出したところ、丁寧な返事を頂きました。

私からのメール
月刊監査役で会計講座上級編を読まさせて頂きました。
昨日日監協の北陸監査実務部会が福井で開催され、月刊監査役熟読部会では、先生の論調に全員が共感しておりました。
内部統制は日本の本来の仕事のやり方の中に組み込まれているが、アメリカ式の内部統制システムを組み込むことによって、協力関係や一体感が寸断され、逆にリスクが増している。と感じます。
当社で監査時に行ったアンケートでも、チェックのために必要な時間がやたら増え、深く考えることや部下指導に費やす時間が取れない。といった将来のリスクが顕在化してきています。
また、「日本の経営者の半分は会計基準を守ろうとしない」「企業ぐるみの不正は内部統制では発見しづらい」と言った状況からは、日常の監査役の監視や執行部門との会話が重要視されます。
現在、社外役員が必要視されていますが、社内役員の自律的活動のほうが、数倍効果があり必要とされていると思う次第です。

北陸監査実務部会では是非先生のご講演をお聞きしたいと希望しておりますので、叶いますならばいつかご指導よろしくお願いいたします


田中教授より頂いたメール

メールを拝受しました。ご厚意あふれるお言葉をいただきありがとうございます。

企業のコントロールは,内部統制などと上から下に大上段に振りかざすようなものではなく,「自分の会社」と仲間のことを自分の家庭・家族と同様に考えるだけで十分に達成できるのではないかと思います。社外役員にはそうしたことは期待できません。

講演のお話もありがとうございます。最近は,国際会計基準と時価会計に関する講演であちこちに出かけています。
話を聞いて下さるところにはどこにでも,どんなテーマでもお伺いしますので,いつでもお声掛けください。

数日後には(下)がでます。(下)でも「社員に優しい会社」の条件をいくつか書きました。
またご意見を頂戴できれば幸いです。

神奈川大学経済学部
田中 弘

内部統制システムと株主代表訴訟制度の課題

日本監査役協会 北陸地区懇談会として「内部統制システムと株主代表訴訟制度の課題」の講演会が金沢都ホテルで開催された。
講師は野口葉子弁護士。 えーー、こんな若くて素敵な女性が弁護士(春馬・野口法律事務所)であり、しかもこんな難解な議題について話されるとは・・・・野口弁護士

心配は全くの杞憂であり、講演はきわめて明快で、役員の善管注意義務についても、今までどこの講演を聞いても雲を掴むようだったが、すーーっと理解できた。
他の皆さんの感想も同様であり、すばらしい講演を本当にありがとうございました。

①株主代表訴訟制度における監査役の役割の重大さ
・提訴請求は会社に出されるが、対応するのは監査役。
・監査役が事実を調査し、提訴の是非を検討しなければ行けない。
・提訴すべきと判断したときは、監査役が原告となって役員の責任追及の訴えを起こす事になる。
・提訴しない場合は不提訴理由書を作成し、株主に通知する。
いずれにせよ、60日間という限られた期間に判断しなければならず、その結果がその後の裁判で資料として求められる可能性が高いため、とっても大変。
そのため、日頃から弁護士(会社の顧問弁護士以外)との付き合いが必要か。

②株主代表訴訟では内部統制システムの是非が問われる。
・悪いことをした役員Aの行為を、他の役員Bは全く関与しておらず知らなかった場合でも、内部統制システムに不備があれば、Bもアウト
・内部統制システムが機能しており、Bの善管注意義務および忠実義務が果たされておれば、Bは責任を果たしていたといえる。
・内部統制システムの整備レベルについては広い裁量が認められるが、その時点時点で必要だと思われる水準で整備しておくべき。
(ダスキンの株主代表訴訟事件における高裁判決)
「健全な会社経営を行うためには・・・リスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制を整備することを要する。どのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは基本的には経営判断の問題であり、会社経営の専門家である取締役に広い裁量が与えられているというべきである。」

善管注意義務
(ヤクルトのデリバティブ取引に関する代表訴訟事件における高裁判決より)
経理担当の取締役は「デリバティブ取引が会社の定めたリスク管理の方針、管理体制に沿って実施されているかどうかを監視する責務を負うものであるが、ヤクルト本社ほどの規模の事業会社の役員は、広範な職掌事務を有しており、かつ、必ずしも金融取引の専門家でもないのであるから、自らが、個別取引の詳細を一から精査することまでは求められておらず、下部組織など(資金運用チーム、監査室、監査法人など)が適正に職務を遂行していることを前提とし、そこから挙がってくる報告に明らかに不備、不足があり、これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情のない限り、その報告等を基に調査、確認すればその注意義務を尽くしたものというべきである。」
その他の取締役は「相応のリスク管理体制に基づいて職務執行に対する監視が行われている以上特に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情が存在しない限り、担当取締役の職務執行が適法であると信頼することは正当性が認められるのであり、監視義務を内容とする善管注意義務違反に問われることはないというべきである。」
監査役は「監査役自らが、個別取引の詳細を一から精査することまでは求められておらず、下部組織などが適正に職務を遂行していることを前提として、そこから挙がってくる報告等を前提に調査、確認すれば、その注意義務を尽くしたことになるというべきである。」

テーマ : ビジネス
ジャンル : ビジネス

内部統制報告制度ラウンド・テーブル

内部統制報告制度について、中間的な総括として11月5日にラウンド・テーブルが開催されたが、その様子がアップされたホームページを拾ってみた。

「投資対効果は2年目以降の取り組み次第」、内部統制報告制度ラウンドテーブル開催

費用対効果「内部統制の整備・運用は企業にとって必要。だが監査費用の増加や文書化に費用がかかった分、効果が見えにくいのがデメリットである」

米SOX法に対応した野村ホールディングスの仲田正史執行役員「ピーク時の監査報酬は30億円。そのうち米SOX法対応費用は3分の1程度だったと見ている。これが2年目には3割程度減少、3年目はさらに半減した。初年度はプロセスを整備せざるを得ない。当社は数年かけて米SOX対応の業務を見直しているが、費用対効果の見極めが難しかった」

新日本監査法人の持永勇一常務理事「企業の上層部から文書化を軽減してよいと言わない限りは、現場での軽減が難しく、簡単には改善できない項目。2年目以降の課題になるだろう」

市場関係者「投資家の視点としては、利益の増加など企業価値を高めるために内部統制報告制度があると考えている。2年目、3年目に何をしたら価値が向上するかを企業側は考えてほしい」

JICPAの前会長で日本内部統制研究学会の藤沼亜起常務「内部統制とコンプライアンス(法令順守)を同じように考えている企業がある。内部統制はコンプライアンスより大きな概念。財務諸表の正確性の確保だけを考えるだけでなく、業務の有効性や効率性の向上につなげる必要がある」

ビジネス法務の部屋
私(山口利昭法律事務所)の個別報告の内容は、経営者不正には(いまのところ)あまり機能する制度ではない、ということと、まだまだ経営者評価といいながらも経営者が参加されているケースは少ないので、(ややとんがった意見であることは承知のうえで)経営者参加に向けてのインセンティブ作りに関する提言

テーマ : ビジネス
ジャンル : ビジネス

プロフィール

新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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