会社法-3 第2回会社法制部会 

5月26日に第2回会社法制部会が開催され、投資家サイドの意見、及び日本公認会計士協会及び日本税理士会連合会の意見が述べられた。

参考資料6 年金運用から見た会社法の課題(企業年金連合会濱口大輔理事)
日本株に2~3割回して運用しているが、運用利回りが過去10年間マイナスと低迷しているのは企業の低い収益性のため。株主価値が軽視されている。
a.「株主」の法的位置づけの明確化;経営者が「株主」に対し負うべき責任等を明確にすべき。
b.上場会社における「一般株主(少数株主)保護」の強化
c.「独立社外取締役」の設置
d.委員会設置会社の法的メリットの明確化;改善できる点を改善する。
e.株主による監視機能の強化;株式持合い等による議決権の空洞化と、企業買収市場の機能不全について、対応を検討すべき。
→要するに、もっと高配当しなさい、というリクエストですが、独立社外取締役を入れれば収益性が上がって高配当するようになるのでしょうか?

参考資料7 投資家から見た株式市場の課題について(東京海上アセットマネジメント投信岩間陽一郎顧問)
機関投資家と個人の持株比率が1996年45%から2006年69%(米は98%)と急速に上がっており、選択と集中を柱とした戦略的な企業経営の進展と収益力の向上、経営のモニタリング機能の極大化が求められる。
そのためには、業績に連動した報酬制度、独立社外取締役の義務化、監督と執行の分離などが求められる。
→日本の産業構造を大胆に変革して収益性を強化すべき、は理解できるのですが、法制度を変えれば戦略的な企業経営に変るのでしょうか。今の制度が変革の妨げになっている、というのなら障壁を排除すべきでしょうが、壁を高くするばかりにならない様にして頂きたいものです。

連合副事務局長 逢見委員
・会社法上,「使用人」ではなく「従業員」と表記するべき
・従業員が指名権を持つ監査役制度を導入すべき
・監査役は妥当性の監査についても会社法上で明確に権限を有していることを規定するべき
・損益計算書の公告に関しては,売上高であるとか従業員数というものも判断基準に組み入れるべき
・従業員が計算書類の閲覧を請求できる権利を明確にすべき
・合併,買収などの企業再編に、従業員の雇用の在り方,労働条件についても従業員に対する情報提供とそれに対する意見表明の機会,特に買収を申し出ているところについて,その買収後,その企業をどのように経営しようと思っているのか,雇用をどのようにしようと思っているのかということについて従業員が質問し,そのことについて意見表明をする機会など,一定の関与を法的に担保すべき
・子会社を支配している親会社の子会社従業員の雇用に対する責任,使用者としての責任の存在について,その旨会社法で規定すべき
→多くの意見を出されていますが、なぜ文書を出されずに口頭説明だけなのでしょうか

Q 法政大学伊藤教授
・従業員出身の経営者あるいは監査役と従業員が指名する監査役がどこまで違うものなのか
・従業員代表監査役はどうやって選ぶのか
・そのような監査役が従業員の地位を持ち続けるとすると、今の兼任禁止規定について重大な例外になるが
A 従業員が選ばれる人は必ずしもその企業の従業員である必要はない。外部の人であっても構わない。
 選ばれた人は休職という扱いでもいいのではないかと思っております。
 私が考える従業員選出の監査役というのは,別に監査役室に座ってお茶を飲んでいるということではなくて,現場を回って歩いて,何かないかということを常に見て歩くアンテナのような役割をする,そういうイメージで考えております。
→現状の監査役は部屋に座ってお茶を飲んでいるイメージなのでしょうか。ただ、お茶を飲みながらじっくりと見守るというのも大切な行動だとは思いますが。
Q 日本監査役協会築舘会長
 今の監査役と別立てか
A 株主総会の承認は必要であり、監査役会の一員になる。
Q 中央大学野村教授
 不祥事が起きたときに、現在の監査役には言いにくいが従業員選出監査役は言える、と言うのは疑問
A 現監査役は経営者から指名されており、自分達で選んだ監査役とは違う。
Q 東京大学藤田教授
 従業員のステークホルダー論をバックに持つのだったら、何で監査役なのですか。監査役は,基本的な企業の経営姿勢等を決めるという立場にはない。インセンティブがあり,能力があり,その機能に関する知識があるため,監査の質が上がるからこういう人を入れるのがいいというのであれば、何で従業員自身ではなくて,指名した人が入るのか。いずれにせよ従業員の指名する監査役という趣旨が何かが非常にとらえどころがない。
A ガバナンスに関与するということで監査役と考えております。,現行でも必ずしも監査のエキスパートが監査役
になっているわけではない。大事なことは,従業員の手によって選ぶ監査役がガバナンスに関与するということが仕組みとして必要なのではないか
Q 東京大学神作教授
 労働者の保護だったら労働法でやっていただくべきだと思いますし,顧客の保護でしたら消費者法等で対処する
ことが適切。ステークホルダーへの配慮というのが,ステークホルダーの保護のことを考えておられるのか,持続的な企業価値の向上という概念につながっていくのか。
A 会社は株主と債権者のために存在するのではなくて,多様なステークホルダーとの良好な関係をつくる,維持する中で企業価値が生まれていくということ
Q 早稲田大学上村教授
 連合が会社法の研究会をつくるというときに最初にかかわったが、公開会社法というものが,民主党と連合が主張している労働者の監査役会参加のことであるというようなイメージを持たれたことによって,非常に迷惑している。私は民主党のこの案作りには一切タッチしておりませんので,自由な立場で話をさせていただきたいと思うのですけれども,私は公開会社法については民主党のプロジェクトチームには何回か行っておりますけれども,この労働者の参加については,一切一回も話を聞いたことはありません。連合とか民主党は,そういう意味では市民運動の一つの在り方として,市民とはそれは同時に消費者であり,株主であり,従業員であり,労働者である,そういう考え方を基本に据えるべきだと申してきました。

参考資料8 監査人の選任議案・報酬の決定権に関する論点等について(日本公認会計士協会友永道子副会長)
 重要な会計処理等に関する監査人と経営者との意見の相違がある場合は、ときとして監査人の交代に至るが、経営者に都合のよい意見の後任監査人を決定しておいて、現任監査人との契約を解除していると思われる事案も見受けられる。監査役に監査人の選任議案の決定権がある場合には、監査役会は経営者を監視する立場から後任監査人の選任に主体的に関与することになり、意見の相違の局面でもガバナンス機能の発揮が期待できる。
 業績が悪化する局面では、監査人は財務情報の虚偽記載のリスクが高まり十分な時間の確保が必要となるが、経営者からは逆に効率性を要求される。監査役等に報酬の決定権を付与することが可能ではないかと考えられる。
→アメリカの監査費用は日本の一桁上かと思いますが、監査役と会計士のベクトルは「効率よりも低リスク」であり、監査費用の大幅アップが懸念されます。
Q 日立八丁地副社長
 会計監査人の選任議案とか報酬の決定は業務執行権限であり、業務執行を行わないために経営陣からの独立の存在であるということに監査役制度の趣旨と矛盾する。監査役は会計監査人の選任議案と報酬について同意権を持っており、監査役の意見は十分反映できるのではないか。また,監査役は議案提出請求権を持っておりますので,会計監査人の選任に対してイニシアチブをとれる。
A 意見の相違による監査人の交代が現実にあり次の監査人の選任は経営者がやっているが、監査役が後で同意という形で形式的に決めているというところで,真にガバナンス機能を監査役に果たしていただきたい。監査報酬の決定については何も戦略的な決定をするわけでもなく,監査に必要な日数から割り出した報酬ということで,やはり監査役の監査費用と同じような発想で監査役に付与することができるのではないか
Q 名古屋大学中東教授
 これまでにも,監査法人が突然いなくなってしまったりして監査役会が一時会計監査人を決めないといけなかった場合があったときに、この理念にかなった選ばれ方がされたのかどうか。つまり,独立性を持たせる形で実際選ばれていたのか
A ちょっとお答えできない質問ですね。一時会計監査人は監査役会が決めますが、それがよかったかどうかという判断はちょっと私にはできない

参考資料9 企業統治における会計参与の役割に関する意見(日本税理士会連合会杉下清次常務理事)
会計参与の普及は企業統治において有効であるため、日税連としても積極的に普及推進していかなければならないと考えている。今後、関係官庁、金融機関等を交えて会計参与導入によるインセンティブ等について積極的に検討していきたい。

プロフィール

新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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