下町ロケット 

池井戸潤氏の「下町ロケット」を読む。
下町ロケット

エンジン開発では競争相手の大企業 ナカシマ工業が、中小企業 佃製作所を特許侵害で訴えてきた。
「勝てるかどうかは問題じゃない。大企業が訴えプレス発表をする。さて、世間、銀行、納入先はどう思うか。
裁判には馬鹿にならない金も掛かるし手間も掛かる。佃がどれだけ耐えられるかだ。」
「会社に倫理など必要ない。法律さえ守っていれば罰せられる事はない。相手企業の息の根を止める事もだ。」
案の定、銀行は、「正義ねえ。社長、正義と法律は違うんじゃないですか。」と、融資を断ってくる。
顧客も、「大企業が訴えるぐらいだから、よほど悪いんだろう。」と、離れていく。
そんな佃製作所を救ったのも特許だった。
帝国重工がロケットエンジン開発に不可欠な水素エンジンに関する特許を申請した所、佃製作所が先に特許を取得していた事が判明した。
帝国重工は特許を買いに来る。佃製作所は喉から手が出るほど資金を必要としているはずだ。
しかし、自社でロケットの部品を作って納めたい佃社長は絶対に売ろうとしない。
次に帝国重工は特許使用許諾を求めてくる。
しかし、佃社長は頑として応じない。
「どっちの選択が10年先の佃製作所にとってメリットがあるか」
「リスクのないところにビジネスはない」
しかし、今日の会社に不安を持つ社員も離反していく。
そして・・・・


熟練工が手作業で作る佃製作所の製品は、無駄を徹底的に省いた自動機器で作られたナカシマ工業や帝国重工の品質を遥かに凌駕し、テストに合格する。佃品質、佃プライド
そして佃製作所の部品は、スターダスト計画のロケットに搭載され、そして打ち上げられる。

この社長の決断はどう考えるべきか。
監査役的視点からすると、社長の夢は分かっても、一番収入が多い特許売却がベスト、リスクのない特許使用許諾が次案、リスクが高く収入も安定しない自社開発は???と判断せざるを得ないだろう。
企業のゴーイングコンサーンを考慮すると、今の安泰を取るか、リスクを取って将来の大いなる発展に掛けるべきか。
ジョブスは言っている。「何かを捨てないと前に進めない」「どんな夢を描けるか、それがいつも重要だ」

特許戦略についても考えさせられる。
日本は新幹線、水道、原子力などのインフラ輸出をこれからの柱に据えているが、
中国に輸出した新幹線を真似て、中国は「日本の技術を消化・吸収・革新した技術」だとして、先端部の形状や台車など21件について米国、ブラジル、ロシア、欧州、日本で特許申請したと言う。
ドイツのシーメンスも中国に新幹線技術を供与しているが、中国が独自技術だと喧伝する事を最初から想定して米国などでの特許を出願済みだそうだ。
もっとも高速鉄道の追突脱線事故によって、中国の独自技術に疑問が呈されているが・・・・

プロフィール

新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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