マニュアル作成者は現場のことを知らない。

月刊監査役5月号の「監査役のリスクコミュニケーション」に法政大学上野教授が書かれている。

事故を起こした従業員に聞いた。
「どうしてマニュアルを守らなかったのか」
「だってそれマニュアルでしょ」???

社内官僚は規則が守られることではなく、規則を作ることに価値を見出す。
社内官僚(マニュアル作成者)は現場を知らず、その事を分かっている現場人間はマニュアル作成者をなめている。
そんな職場にコンプライアンス意識が育つわけがない。


最近の某社の点検漏れ問題がまさにそれにあたると思われる。
・機器の構造または機能上の理由により分解点検ができない機器を点検計画表に記載した。
  これは、まさに現場を知らない人間がマニュアルを作った結果か
・必要な資材の手配ができなかったが,設備の健全性は問題ないと考え,点検工事を実施しなかった。
  現場がマニュアルを馬鹿にした結果か
・設備主管課は点検が実施できなくても管理箇所に連絡せず,管理箇所も連絡がなければ点検済みとしていた。
  マニュアル作成者と現場の意思疎通がない結果か

一方で、エネルギーフォーラム5月号P100「容易ではない原発メンテナンス作業のIT化」に丸田敬氏が書いている。
米国の電力会社では若い女の子がにこやかに原発のメンテナンスをやっている。
業務が標準化されており、特別な技術やスキルが無くとも、ちょっとしたトレーニングを受ければ誰でも出来る。
日本では現場のメンテナンスが属人的に行われており、業務の標準化が行われていない。
膨大な数の機器が使用されており、それら機器には独特の個性がある(閉めすぎると漏れるバルブとか、起動時に振動を起こすとか・・・)ため、ノウハウが特定のオペレーターに蓄積されている。
システム化を図ろうとしても、現場が強く、システムベンダーが理想的なテンプレートを提案しても、いつのまにか従来の業務フローが優先してしまう。
アメリカでは業務のデータ化に10年以上の期間を費やし、業務の標準化が実現され、その結果として原発の稼働率が向上している。


以上から言える事は、マニュアル化も、システム化も、現場の設備実態に基づいた息の長い、しかもタフな取り組みを行っていく必要があると言うことではないだろうか。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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