独占禁止法の優越的地位の濫用

月刊監査役5月号に「近時の判例から学ぶ 独占禁止法遵守のポイント(第3回)-優越的地位の濫用・下請法」を長澤哲也弁護士が書いておられる。

・米国であれば不当に不利益を強いられた場合は当然訴訟になるが、日本では耐え忍ぶ事がほとんどなので、当局が介入する事が正当化されている。
・優越的地位にあるものが、合意した内容を反故にしたり、不利益的取引を強制した場合には、当該取引だけでなく当事者間の全取引の1%の課徴金を課す。
・不利益的取引とは受領拒否、支払い遅延、代金減額、返品、不当な給付内容の変更・やり直し、など


かつてシステム開発において、不当に不利益を強いられた話を何度か聞いた。
・システム開発の下請けに入り、発注者の仕様がなかなか決まらず、手待ちのまま開始が遅れ、さらに途中で仕様が変更になり、工数が大幅に増えることとなったが、予算総額は変らないので、親請けと下請けで不足分を分担した。
・お役所にシステム開発を提案し予算に織り込まれたが、役所内での手続きが終わって正式に発注されたのが12月。しかし3月には報告書をまとめて提出しなければいけないので、リスクを覚悟で自社判断で4月に着工して間に合わせた。

こうした場合、変更ややり直しに必要な費用を親事業者が負担することが求められてはいる。
しかし、変更に伴う予算増加はなかなか通らない事や検討不足について叱られる事を担当者が嫌がる為、「予算はこれだけしかない」「納期は動かせない」と無理強いされることが多いのは事実だと思う。
だから日本のシステム会社の利益率は異常に低い。
それに対して外国資本の企業(IBMやアクセンチュア、SAPなど)は、契約時点で内容をしっかりと決めて、内容や納期の変更に対してはしっかりと請求してくる。

下請企業が泣き寝入りするからお上が代わって成敗する、という日本の独占禁止法のあり方は正しいのだろうか。
いまのままでは、いつまでも甘えの構造が直らず、日本企業の親離れが進まないと思う。
真に国際化するためにも、契約をきちんとし、当事者間で契約に基づいて淡々と交渉する事こそ求められるのではないだろうか。
ただ、1社だけが「我社と取引するときは変更に関する契約を結んで頂きます。」なんて言うと、「あっそう、それでは御社は下請けに入って頂かなくて結構です。」なんて事になるので、そういった事が当たり前になるまでは当局が指導しなければしょうがないのかなーー。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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