監査役の覚悟20 株主の行動

株式会社を支配し重要事項を決定する株主とは、どういう存在で、その意思決定はどのように行われているのでしょうか。

證券会社の方に聞いたところ、年金を運用している信託銀行や外国の機関投資家の比率が非常に増えているそうです。
実際に、時価総額上位50社の企業の金融機関比率は34%、外国人比率は33%と、合わせて67%にもなります。
それらの機関は、もの言う株主として発言力を強め、特に次のガバナンス向上を求めているそうです。
・社外役員の独立性確保
・役員報酬における報酬決定プロセスの開示
・株式持合い、買収防衛策、株主還元
また、機関投資家はウォーレン・バフェットのように、社会や環境への貢献を求める投資哲学を持っており、その哲学に共鳴した投資家から資金を集めて長期的に運用することから、コンプライアンスの遵守は大前提になるとの事でした。
日本における機関投資家は、プロが運用していると言うよりは、サラリーマンとして運用しているのでリスクは取らない、つまりコンプライアンスに問題のある企業については絶対に組み入れない、との事でした。

一方で、ヘッジファンドが巨大化しており、2010年末の世界の運用資産残高は1兆9千億ドル、つまり170兆円もの金額が短期的に取引されている事になり、その額は10年間に6倍以上に膨らんでいます。
取引はコンピューターが判断して売り買いをするため、先行き上がると判断すれば買いを入れ、下がる予想が立てば即座に売られる事になります。
 日本での株式売買も、現金取引が44%に対し、信用取引が56%と、信用取引の方が多くなっています。また、東証のシステムも昨年よりアローヘッドという超短期売買が可能な高速なシステムになっています。
 つまり、コンプライアンスなどは関係なく、上がるか下がるかの予想が売り買いの判断です。
特に信用取引になると、現実に株を保有していなくても売買できますので、下がると判断すると空売りして下がった所で買いを入れて、その差額で大きく儲けるという事になります。
つまり企業価値の向上だけでなく、下落も収益に繋がるわけです。 
 これって、企業価値をひたすら向上させようと日々努力している経営者にとって、そしてその経営がひたすら努力されている事を見ている監査役にとって、とても空しい事ですね。

 しかし幸いな事に、株主総会でもの言う株主は前述の長期的な投資を行う機関投資家であり、企業価値向上が求められている事は変らないようです。
 ただ、機関投資家は時価総額100億円以下の企業には投資しないため、そういった企業に対する外部からの牽制は効き難く、社長のワンマンコントロールになりやすい、との事でした。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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