永遠のゼロ-2

「永遠のゼロ」から、失敗の原因に学ぶ事は多い。

油断と驕り
真珠湾攻撃は、宣戦布告の直後にされる予定だった。
しかし、ワシントンの日本大使館職員が宣戦布告のタイプに手間取ってアメリカ国務長官に手交するのが遅れ、攻撃の後に宣戦布告された。
その原因は、大使館職員が前日に送別会で夜遅くまで飲んで当日の出勤に遅れたため、と言うから情けない。
日本には「卑怯なだまし討ち」との汚名が着せられ、アメリカの世論は「リメンバー・パールハーバー」の掛け声と共に、「日本撃つべし」と多くの志願兵が殺到した。

ミッドウェー作戦の図上演習をしたところ、日本の空母に爆弾が9発命中したが、宇垣参謀長は「今のは3発にする」と被害を過小評価し、作戦の見直しを行わなかった。

ミッドウェー海戦において、戦う前から戦勝気分が蔓延し、敵機動部隊はいないという思いから、目標を陸上基地攻撃に変更して攻撃機の魚雷を陸上用爆弾に積み替えたため、敵艦を発見しても攻撃できなく、4隻の空母を失った。
対して、アメリカは修理に一ヶ月かかると言われたヨークタウンを3日間の修理で間に合わせるなど、全空母を海戦に参加させ、一機果敢に攻めた。

情報収集不足
ミッドウェー海戦において、ハワイ沖に敵の動きを探る潜水艦部隊を送る予定だったが、「米空母は出撃しない」という思い込みから配備は米空母出撃後になった。
アメリカは、日本の動きを充分な情報活動によって事前に察知し、手ぐすね引いて日本軍を待ち伏せた。

ガダルカナル島に設営隊員だけを派遣し、ジャングルを切り開き、滑走路を整備し飛行場を作った。
大本営は米軍がこんな小さな島をまともに攻撃するとは考えていなかったが、作った途端に米軍は手持ちの空母を全てつぎ込んで猛攻を仕掛け、飛行場を奪った。
ガダルカナル戦

守りが薄い。命が軽い
日本はガダルカナルを取り返そうと、艦爆隊と陸軍突撃部隊を送り込んだ。
総計で3万人以上の兵士を兵站を考えずに送込み、5千人が戦闘でなくなり、1万5千人が飢えで亡くなった。
壊滅した第2師団

日本の飛行機は防弾装備が皆無で、「ワンショット・ライター」と呼ばれていた。
対して、米のグラマンの搭乗員の背中には厚い防弾板が張られ、7.7ミリ機銃では突き通せなかった。
日本は、月月火水木金金で連日の出撃を行っていたが、米は1週間戦えば後方に回され休養を取っていた。

リスクを取らない。
真珠湾攻撃では、米艦隊と航空隊を撃滅したが、ドックや石油備蓄基地、その他の重要な地上施設を無傷で残した。
これを完全に破壊していれば、ハワイの基地機能は失われ、太平洋の覇権を獲得していた。
第三次攻撃を具申する飛行隊長もいたが、司令長官南雲中将は退却を選んだ。

レイテ島沖でも、戦艦大和、武蔵をはじめとする栗田艦隊を援護するため、小澤長官率いる空母部隊が命を懸けて米機動部隊をおびき寄せた。しかし、その事を知らない栗田艦隊は全滅を恐れて反転し、米艦隊は全滅を逃れた。

指揮官の決断力と勇気のなさから決定的なチャンスを逃している。
大本営のエリートは、兵隊が死ぬ作戦ならいくらでも無茶苦茶な作戦を立てるが、自分が前線の指揮官になって自分が死ぬ可能性があるときはものすごく弱気になリ、勝ち戦でも反撃を恐れてすぐに退く。

評価基準
ガダルカナルの海戦では、緒戦に奇襲が成功して勝利しているが、さらに突き進む事をせずに撤収し、米輸送船団を壊滅させる機会を失っている。
艦隊司令長官にとって、最高の名誉である金鵄勲章のための査定ポイントは、戦艦を沈めたら最高ポイント、次は巡洋艦、駆逐艦と続き、輸送艦は沈めてもポイントにならなかった。
真珠湾で陸上施設を攻撃しなかったのも、ガダルカナルで輸送船を沈めなかったのも、勲章の査定ポイントの所為だとすれば、お国のためと戦った多くの兵士も浮かばれない。

海軍の人事は海軍兵学校の席次(ハンモックナンバー)で決まる。(今の役人と同じ)
後は大きなミスがなければその順位のまま出世して行く。(だからリスクを取らない)
試験の優等生とはマニュアルには強いが、予測不可能な状況には対応できない。
対してアメリカは、平時は卒業時の席次がモノを言うが、戦争になったら戦闘の指揮に優れた人物が抜擢された。弱気な指揮官はおらず、指揮官は皆、驚くほどアグレッシブ。
日本では失敗の責任は現場だけが取らされ、大本営はエリート同士がかばい合い、誰も責任を取らない。
アメリカは失敗の責任も明確に取らされ、真珠湾では太平洋艦隊司令長官キャンメルが大将から少将に降格され解任された。

日本の兵士もアメリカの兵士も、祖国と家族を守るために、例え自分が死んでもその死は無意味ではない、と信じて戦った。
彗星
自らの命を賭して日本と子孫を守ってくれた兵士たちの思いに、現代の我等は応えているだろうか。
安全なバックヤードでリスクも取らず、大丈夫だろうと油断し、大本営以上に油断し驕っている状況に、誠に申し訳ないと恐縮する次第です。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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