変化への対応

日本監査役協会の全国監査役会議に出席した。
パネルディスカッション「持続的成長に向けた変化への対応」が面白い。
パネリスト 神戸大学 三品和広教授、日本マネジメント総合研究所 戸村智憲理事長、長谷川俊明弁護士
コーディネーター テークスグループ 細野幸男常勤監査役

2時間半のディスカッションの中で、印象に残ったフレーズを紹介すると、
・日本企業のリスク対応の特徴は、形式主義的であり、もっともらしさを求める傾向にあるが、実効あるものが大切。
確かに飛行機が落ちるときに機能するのは、分厚いマニュアルではなく、一枚で絵にまとめた説明書だ。

・デルの会長は、危機管理のためにコストが上がるのはナンセンスであり、危機が発生したら如何に対応するかに尽きると言っている。
リスク対応にはコストがかかる。リスク対応のコストは、数割にもなるのではないだろうか。しかも、リスク対応が複雑になって非効率になっている部分があることは否めない。

・危機とはマニュアルで対応できない事態の事を言う。
確かに、マニュアルや手順書で対処できるならば、危機に至らないですね。

・コンサルタントは、J-SOXで紙爆弾とまで言われる書類づくりをさせ、次にIFRSへの対応の必要性を過大に説明し、最近はBCPが必要だと言っているが、実際には機能せず彼らを儲けさせるだけ。

・武器と武器の間で法は沈黙する。
生きるか死ぬかの殺し合いをしているときに、法律を持ち出してもしょうがないが、平時に戻った時に有事についてどうさばくかなのだろう。その時も、法律論よりも、勝ったサイドの理由が正当化されるのかもしれない。

・想定外と言うリスク対策はない。
・リスクマネジメントと言われるが、マネジメント出来ないからリスクなのだ。

リスクとは想定出来ない事態の事を言うのかもしれません。
事前に決めておくのは、責任者は社長であり、その指揮に従う、と言う位なのかも知れません。

・巨額の特別損失を出した会社を調べると、世の中の流れに乗って当たり前のことをやっている企業が多い。
戦略的に成功した企業を調べると、よくこんな事に挑戦したなと思う事に信念を持って取り組んでいる。
10人の役員のうち8人が反対する案件に挑み、8人が賛成する案件は切り捨てる。
非凡な経営者がリスクを取ってチャレンジしていかなければ日本の未来はない。

ブルーオーシャンを航海するとか、誰もいない土俵で勝負する、とか言われますよね。
しかし、凡人で愚直な監査役は監査報告に、「10人のうち8人が反対したけれど、社長が強引に押し切った。内部統制は機能していない」と記載して、足を引っ張らざるを得ないのでしょうか。

・リスク対応で大切なのは次の四文字「臨機応変」
日頃からマニュアルに頼った行動しかしていないと、いざという時に臨機応変に対応出来ないでしょうね。

以上のような、今までの監査役会議では聞けないご意見の連続でした。
最後の締めは「もっとも強いもの、賢いものが生き残るのではなく、変化したものが生き残る。監査役も環境に応じて変化しなければいけない。」と締められました。

二日目の文化講演で東日本大震災構想会議議長の五百旗頭氏が、実際にリスク対応として臨機応変に対応した実例を紹介されました。
阪神淡路大震災の時には自衛隊の出動には知事の要請が必要だったが、全く電話がつながらなかった。
たまたま電話が通じたときに、自衛隊が神戸市の防災担当係長に
「この電話で知事の要請があったという事にして出動してよいか」と訊ね、
野田係長は「よろしくお願いします。」と返事し、自衛隊が時期を逸せず出動する事が出来た。

これってすごいことですよね。
マニュアルどうりに行動すると、
「いや、知事に確認しますのでしばらくお待ちください。」と返事し、知事を探しまわって、手続きを踏んで、電話の繋がるのにいたずらに時間がかかっただろう。
大切なのは手続きを守ることよりも、市民の命を優先したことだ。

今回の会議で学んだことを整理すると、
・危機管理マニュアルは、必要最小限の事を決めて、実際に機能するものにする。
・想定外の事態にも「臨機応変」に対応する。
・その対応の判断基準は、お客さまや地域目線である事

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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