オリンパス第三者委員会報告書

オリンパスの第三者委員会の報告書が開示されている。
事件の内容は省略するが、監査役と監査法人について言われている内容について学ぶ。

事実関係
・監査法人は、「国内3社の買収価格が高すぎる、FA報酬が高額に過ぎる」などと指摘した。
・会社は指摘を受けて、’配当優先株の買取’について、監査法人が交代になるまで実施しなかった。
・会社は監査法人の指摘に対し、外部専門家による委員会等を組成して、’経営トップの意に沿った報告書’を徴求する事により、不正の発覚を防ごうとした。
・常勤監査役は元経理部門で不正の首謀者だった。
・監査役会は監査法人より、適正な業務監査権限の行使を促されていたが、この報告書の結論のみに重きを置き、その内容や留保条件に立ち入った検討を行わなかった。
・監査法人はガバナンスが機能不全に陥っているとして、’経営陣の退陣’に言及した。
・経営陣は監査法人がその職分を超えて経営に口出したと受け止め、解任した。
・新監査法人候補社は、引き受ける前提を「無限定適正意見と、前監査法人の見解の確認」とした。
・前監査役法人は無限定適正意見を付し、引継ぎ時に特に問題を付さなかった。
・新監査法人は、配当優先株の買取り価格と簿価の差額をのれんとして計上できると判断。
・会社は簿価1億7700万ドルの配当優先株を、6億2000万ドルで買い取った。

問題点
・会社トップや幹部職員によって不正が行われる事を想定したリスク管理体制が取られていない。
・歴代の社長には透明性やガバナンスについての意識が低く、正しい事でも異論を唱えれば外に出される覚悟が必要だった。
・役員の間には会社を私物化する意識が蔓延し、株主に対する忠実義務などの意識が希薄だった。
・損失隠蔽、飛ばしの手段が、書類を残さず内部からも発見しにくい手法が取られた。
・取締役会や監査役会に必要な情報はほとんど提供されなかった。
・取締役にはイエスマンが多く、形骸化していた。
・監査役にふさわしいものが選任されず、監査役会として事業方針に異議を唱えた形跡はなく、経営トップも何か指摘される事を嫌っていた。
・監査法人は一旦は指摘したが、結局は正しい指摘をしておらず、引継ぎも充分ではなかった。
・外部専門家による委員会が、中立公正な第三者の意見として信を置くものでなかった。

対策
・社外取締役、社外監査役を、社長の友人や取引先などから縁故者を選任することを取りやめ、真に社外役員にふさわしい人物を選任する。
・監査法人はその任務の重大性を改めて認識の上、会社と監査法人は本来のあるべき関係を構築すべき。
・監査役も監査役会も、取締役の業務の執行を監査する責任の重さを充分に自覚する。
・監査役は常に懐疑心を持ち、取引の真相を徹底的に追究し、公正な立場から職務を遂行する。
・監査役の独立性を維持するためにも、監査役室を充実させる。
・会社法制度の見直しがこの事案の防止に寄与する面はあろうが、最終的には、取締役、監査役等関係者個人の自覚とその責務の真剣な実行が必要。

最初読んだ時に、もっと具体的な対策を出して頂きたいと思いました。
しかし読み返すうちに、「どんな制度でも機能させなければ意味がない。何よりも大切なのは、取締役・監査役の覚悟だ」、と叱咤された素晴らしい報告書だと思えてきました。
自分が当事者だったら、どう対応しただろうか、自分の覚悟を改めて問い直して見ます。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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