内部統制システムと株主代表訴訟制度の課題

日本監査役協会 北陸地区懇談会として「内部統制システムと株主代表訴訟制度の課題」の講演会が金沢都ホテルで開催された。
講師は野口葉子弁護士。 えーー、こんな若くて素敵な女性が弁護士(春馬・野口法律事務所)であり、しかもこんな難解な議題について話されるとは・・・・野口弁護士

心配は全くの杞憂であり、講演はきわめて明快で、役員の善管注意義務についても、今までどこの講演を聞いても雲を掴むようだったが、すーーっと理解できた。
他の皆さんの感想も同様であり、すばらしい講演を本当にありがとうございました。

①株主代表訴訟制度における監査役の役割の重大さ
・提訴請求は会社に出されるが、対応するのは監査役。
・監査役が事実を調査し、提訴の是非を検討しなければ行けない。
・提訴すべきと判断したときは、監査役が原告となって役員の責任追及の訴えを起こす事になる。
・提訴しない場合は不提訴理由書を作成し、株主に通知する。
いずれにせよ、60日間という限られた期間に判断しなければならず、その結果がその後の裁判で資料として求められる可能性が高いため、とっても大変。
そのため、日頃から弁護士(会社の顧問弁護士以外)との付き合いが必要か。

②株主代表訴訟では内部統制システムの是非が問われる。
・悪いことをした役員Aの行為を、他の役員Bは全く関与しておらず知らなかった場合でも、内部統制システムに不備があれば、Bもアウト
・内部統制システムが機能しており、Bの善管注意義務および忠実義務が果たされておれば、Bは責任を果たしていたといえる。
・内部統制システムの整備レベルについては広い裁量が認められるが、その時点時点で必要だと思われる水準で整備しておくべき。
(ダスキンの株主代表訴訟事件における高裁判決)
「健全な会社経営を行うためには・・・リスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制を整備することを要する。どのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは基本的には経営判断の問題であり、会社経営の専門家である取締役に広い裁量が与えられているというべきである。」

善管注意義務
(ヤクルトのデリバティブ取引に関する代表訴訟事件における高裁判決より)
経理担当の取締役は「デリバティブ取引が会社の定めたリスク管理の方針、管理体制に沿って実施されているかどうかを監視する責務を負うものであるが、ヤクルト本社ほどの規模の事業会社の役員は、広範な職掌事務を有しており、かつ、必ずしも金融取引の専門家でもないのであるから、自らが、個別取引の詳細を一から精査することまでは求められておらず、下部組織など(資金運用チーム、監査室、監査法人など)が適正に職務を遂行していることを前提とし、そこから挙がってくる報告に明らかに不備、不足があり、これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情のない限り、その報告等を基に調査、確認すればその注意義務を尽くしたものというべきである。」
その他の取締役は「相応のリスク管理体制に基づいて職務執行に対する監視が行われている以上特に担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情が存在しない限り、担当取締役の職務執行が適法であると信頼することは正当性が認められるのであり、監視義務を内容とする善管注意義務違反に問われることはないというべきである。」
監査役は「監査役自らが、個別取引の詳細を一から精査することまでは求められておらず、下部組織などが適正に職務を遂行していることを前提として、そこから挙がってくる報告等を前提に調査、確認すれば、その注意義務を尽くしたことになるというべきである。」

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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