メンタルヘルス対策

嘉納弁護士が2009.3.25先見労務管理に執筆された「私傷病休職と職場復帰の労務管理(精神障害等を中心に)」より

過去1年間に連続1ヶ月以上の休業もしくは退職した労働者がいる事業所の割合は7.6%、1000人以上の事業所では92.8%であり、深刻な状況になっている。
企業内で精神疾患等の訴えがあった場合、次の4つの視点で見る必要がある。
①実際にその病気か
②業務起因性はあるか
③休職期間中に本当に直そうとしているのか
④復職しようという場合、本当に直っているのか

①については、少々注意したら次の日から出社せず医者からうつの診断書を持ってきた場合、詐病ではないかと疑う。
しかし、病気を「精神症状や身体症状のため社会的な責任や義務を果たせない状態」と定義すると詐病は多くはない。ディスミチア親和型のうつ病(「気分変調症」「抑うつ神経症」)の可能性がある。
しかし、医者は患者の意思に反することは書きにくく、また、メンタルヘルス専門家ではない医師も多く、「パニック障害」「うつ状態」「自律神経失調症」と診断された人が、軽度の統合失調症だということもある。

②については、業務が原因の場合は、健康保険ではなく労働者災害補償保険で処理すべきだが、面倒で時間がかかる。
ほとんどの場合、業務との因果関係が無い事はまれだが、同時にプライベートなことや個体的な特性も原因であることが多い。
そのため、肝要なのは、どの要因の割合が大きいだろうか。ということになる。この場合は、就業規則に次のような休職規定が定められていることが大切
・○○に該当する場合、会社は当該従業員に長期休職の命令を出すことがある。
・長期休職の上限期間は○年とする。
・長期休職中の基本給については支払わない。
・長期休職期間は退職金算定のための勤続年数には算入しない。
・長期休職期間満了時において復職できない場合は、退職とする。ただし、必要と認めた場合は期間を延長することが出来る。
・会社は医師の診断書の提出、および会社の指定する医師の診断を受けることを命じるとともに、医師と面接して事情を聞き、会社の指定するデイケア施設において適切なリハビリテーションを受けさせることが出来る。

③の休職期間中に直そうとしているかであるが、海外旅行をしているとか、アルバイトをしているとかは問題外だが、家族や主治医とコンタクトを取り、一体になって直していこうと言う考えでまとまることが実務上の要点である。
まず、決められた時刻に就寝起床するなど生活のリズムを整え、散歩や運動などで基礎体力を回復させ、自分を客観的に見つめ直して内観する。そして漫画や本や新聞を読んだりコンピュータを使ったりして仕事の練習をさせる。
リハビリテーションは一人で行うと挫折しやすいので、午前中だけとか週に何回か会社で勤務させることも考えられるが、本人は気兼ねしまわりも面白くないのでお勧めしない。デイケア施設でのプログラムに参加させるのが望ましい。

④の復職であるが、休職期間が長くなると自然退職になるのを恐れ、無理に復職しようというケースもある。主治医だけでなく、産業医など企業側の医師の診断によるセカンドオピニョンが欠かせない。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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