「監査役の条件」 東京農大徳谷昌勇教授

「監査役の条件」東京農大徳谷昌勇教授著 2009年7月東洋経済発行に学ぶ。
題目からして精神論や経験談かと思っていたが、全く違って、リスクマネジメントについて詳細に述べてあった。

リスクアプローチは影響が大きく発生確率の高い事象をターゲットに監査するが、
重大事故は「単純なミスの繰り返し」により発生している。
タイタニックは双眼鏡を収納するロッカーの鍵を忘れたことが沈没の一原因
雪印の事故はツララの落下が一原因

「事故に学ぶな」 過去の事故再発防止のために実施した安全対策が必ずしも将来の事故防止には役立たない。
事故の結果ではなく、そこに至る原因、動機、環境条件が大切

「チャンスのリスク制御」リスクマネジメントは悪いことが起きないようにするための消極的手法であると同時に
「リスクのチャンス変換」リスクは良いことを起こさせるために積極的手法でもある。
確かに、山が高いから、リスクがあって困難だからこそ、参入障壁になり、それを乗り越えれば差別化が図れる。

安全とはある条件の下で成立している状況なので、条件を破るリスクには対応できない。
無条件に頼ることが一番危険。
「ハーフセキュリティ」安全の内、半分はハード類など機器で対応し、後の半分は人間の感性や行動で対応する。
最悪の状態を出来るだけ想定し、対処法まで考えておけば脳が安定する。

利益=売上-費用ではなく
利益=売上-(費用+社会的責任コスト+リスクコスト)

リスク発見ツールを持ち、リスクシナリオを作ることが必要
PDCAからIPPCRへ
Identification 発見・識別
Prediction   予知
Prevention   予防
Countermeasures 対処
Restoration   復旧

会社はコンプライアンスを遵守しなければ経営は成立たない。一方、業務革新を通じて企業業績を向上させなければ株主への配当も従業員への給料も払えない。
監査役の仕事は、取締役がコンプライアンス遵守をしながらいかに売上実績を挙げているかをチェックする事であり、経営の有効性と効率性も監査すべき。

妥当性の先にコンプライアンス違反が潜んでいる複雑な時代環境を考え、監査役は適法性監査だけでなく、妥当性監査にも及ぶべき。
そのため、リスク感性を身に付け、付加価値の高い監査をしていこう。
社長は監査役からの積極的な意見、指摘、助言を心待ちにしている。
ただ、リスクをただ伝えるのではなく、チャンスとして伝えましょう。

と言った論調には、監査役は妥当性監査をすべきかどうか、という議論はぶっ飛んで、当たり前のこととして述べられている。
非常に積極的な監査役像であり、公開会社法やIFRSで求められる方向かと思われる。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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