「日露戦争になぜ勝てたのか」 & 「情報と外交」 

「情報と外交」 孫崎享 元外務省国際情報局長 に学ぶ

情報が如何に大切か、は「日本はなぜ日露戦争に勝てたのか」瀧澤 中 中経出版 (2008-11-24)でも学んだ。
日本は軍事力も国家予算も10倍のロシアとなぜ戦い、勝利出来たのか。その戦略は小手先の戦術に陥りがちの企業経営の大いに参考となる。
1.味方を作る
 ・イギリスはロシアのアジア進出を阻止したかった。
 ・義和団事件で日本兵が見事に外国人を保護し信頼された。
 ・毅然として不平等条約の改定に全力を尽くした。(欧米列強は力のある者、能力の高い者に敬意を払う。)
 ・ロシアのマカロフ中将の戦死に対して哀悼の意を表した。(武士道に対して、日本びいきが増える。)
 ・以上により日英同盟が結ばれ、米は日本に情報を与えた。
2.技術力
 ・リスクを考え、兵器の国産化を進めた。
 ・管理、保管に優れ破壊力のある下瀬火薬の発明
 ・木村駿吉による無線電信の開発
3.情報を活かす
 ・明石大佐をロシアに送り、資金をふんだんに与えた。
 ・反ロシア抵抗運動を支援しロシア軍をモスクワに留めた。
 ・福島がシベリアを踏破しシベリア鉄道に精通した。
 ・さらに東南アジアでイギリスの動きを見事に読んだ。
4.資金調達
 ・国を富ませるために国民を富ませた。(殖産興業政策)
 ・国家予算2.5億の日本が日露戦争で20億円弱を使った。
 ・高橋是清が人脈を活かしてユダヤ資本を動かした。
5.常識ある首脳陣
 ・専門家を活かしつつ信念と見識を持って全体を統率した。
 ・負ける恐怖を背景に決して逃げずに真剣に考えた。
 ・負けないための手を打ち尽くした。

逆に第二次世界大戦では昭和天皇が敗戦理由を4つ挙げている。
 ・敵を知り己を知るということを体得していなかった。
 ・精神主義に陥って科学を軽視した。
 ・陸海軍の不統一
 ・常識ある首脳陣を欠いた。


上記のように、情報入手で優位に立ったことで日露戦争に勝ったのに、第二次世界大戦では精神主義に陥り情報も事実関係の把握も軽視したため敗北した。
さらに現在は、孫崎氏に言わせると、日本の情報機関は全く存在しないに等しい、と喝破する。
日本の海軍力、空軍力は極めて強いが、米国軍抜きでは有効に機能しないようになっており、情報分野も同じ。
それは、第二次世界大戦後の「独自の戦略的攻撃兵器と情報機関を持たせない」という戦略と米軍基地の存在が、日本を無力化させるという日本占領政策の目的を(悔しいが)見事に果たしていると言える。

通常、政策は 「情報入手」→「情報分析」 →「政策決定」の過程をとるが、
日本はまず日米の合意で戦略目標が決められている。
恐ろしい事に、アメリカもイラク戦争では「フセイン抹殺」という政策が決定され、その根拠として「大量破壊兵器」という偽情報を捏造しようとして失敗している。

「戦争はナンバーワンがナンバーツーに追い抜かれる危惧を感じたときに起きる。」とナイ教授が述べたときは、日本を意識していたが、今は日本は眼中になく、中国がアメリカの脅威である。
未だ戦後占領政策下の平和ボケにある日本は、アメリカの実質的な領土であり続けるのか、それとも独立国として独自の情報を入手し、判断を行って、独自の戦略を展開して行けるのか。

アメリカ国務省政策企画部長のハースは、政権内の少数派のジレンマについて論じ、
「組織の中で「内なる良心」を貫くことは難しい。したがって、「内なる良心」を持たぬようにすること、つまり「学ばず考えず」が組織内で生き残るための有力な生き方となる。
しかし、そもそもアメリカはイギリスへの異議表明から生まれた国と言っていい。指導者も異議表明を気高い行為として称賛している。だが、個人的経験から言わせてもらえば、意義は一般論としては高く評価されるが、政策決定の現場では必ずしも歓迎されない。私たちは内なる良心の声に従うべきであるし、指導者には本人が聞きたいことではなく、真実を告げるべきだ。では、異議が無視されたり、却下されたときはどうすべきなのか。一つの選択は、政策が決定されるまで反対を続けるべきだ。もちろんこの場合は、政策決定プロセスから排除され無視されるリスクがある」

監査も同じではないでしょうか。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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