JALの倒産

昨日(1月19日)日本航空が会社更生法の適用を申請し、事実上倒産した。
昨年の正月には215円だった株価は2円となり、約6000億円の株主価値が失われた。
それ以上に、日本という名前を背負った国策企業が潰れたわけで、1企業の問題ではなく、日本の政策が破綻したと言える。
負債は2.3兆円と過去最大であり、新社長に就任する稲盛氏は「再生計画を実行すれば再建は十分可能だ」と発表している。抵抗勢力が多く多難が予想されが、稲盛氏の辣腕に期待したい。

こういった事態に至るときの開示情報はどうなっているのか、と思って見てみるが、倒産リスクがあるとは全く読めない。
H21事業報告の中で基本施策として「安全管理体制の推進」「安全文化の醸成」「危機管理機能の強化」「航空保安の堅持」を推進するとし、収支改善策がその中に入っていないのは驚きだ。
基本施策の次に、収支改善策として①収入確保施策 ②事業規模適正化施策 ③コスト構造改革 ④人財強化施策を打出しているが、最大の危機である収支が基本施策に入っていないのはどうかと思う。

会計監査人はH21有価証券報告書に中で
「当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社日本航空及び連結子会社の平成20年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。」
と記し、監査役もH21事業報告の中で
「事業報告及びその付属明細書は法令及び定款に従い、会社の状況を正しく示しているものと認めます。取締役の執行についても指摘すべき事項は認められません。会計監査人の監査の方法及び結果は相当であると認めます。」と述べている。
会計整理は適切に行われていたとしても、業務が適切に行われていたとの判断は、妥当だったのだろうか。

さすがに11月13日に発表されたH21の2Q決算短信では
「当社は当社グループの事業の再建を図るべく事業再生計画案を策定しておりますが、現時点では事業再生計画案に関する関係各位の皆様との合意が行われていないため、業績予想の前提とすべき事業再生計画案が確定しておらず、今後の業績を予測することが困難な状況にあります。従いまして1Qに公表した通期業績予想を撤回させていただきます。」とし、業績予想を出していない。また、
「営業損失の計上及び借入金の返済条項の履行の困難性が存在し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております」と述べている。

昨日の更正法の申請に合わせ、西松社長をはじめとする取締役全員が退任したが、監査役全員も同時に退任している。
執行を行ってきた取締役の退任は当然として、監査役はどういった責任を持って退任するのか、逆に言えばどうあるべきだったのか、今後ともウォッチして行きたい。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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