社外取締役の有効性

月刊監査役3月号の「ハイブリッド・コーポレート・ガバナンスへの道(上) 全米取締役協会 佐藤剛氏」でアメリカにおけるコーポレートガバナンスが紹介されている。

アメリカはフリードマンによる「自由主義資本主義」と、ケインズの統制経済主義による「民主主義」が共存し発展してきた。
しかし、「自由市場資本主義」「グローバル化」「金融商品のイノベーションとバブル」によって、金融危機が発生し、世界の経済を危機に陥れた。
「自由市場資本主義」;民主主義の面がなおざりにされ、もっぱら消費者や投資家としての力を強化することに力が向けられた。また、新しい金融商品は監督も規制もされなかった。
「グローバル化」;インターネットによる情報革命とコンテナによる流通革命によって世界は一つの自由市場となり、影響が瞬時に世界に波及する。また、従業員、地域社会への配慮がなされ「会社は共同体」と考える価値観が崩壊し、投資家と少数のマネジメントに利益を分配する「経済的な役割」が重視されてきた。
「金融商品のイノベーションとバブル」;金融工学のイノベーションによって開発されたCDO,CDSなる金融商品は、あまりにも複雑であり、リスクもブラックボックス化した。

この金融危機を引き起こし、そして破綻したリーマン・ブラザーズの9人の社外取締役はニューヨーク証券取引所の独立役員の要件を満たしているが、CEOのお友達の高齢者であった。マネジメントから危険なリスクを避け、より安全な事業への転換を訴える声が上がったが、取締役会は会社の危機として取上げなかった。
CDOの保険事業を手がけたAIGの取締役会はカリスマ的CEOとその10人のお友達で構成され、CEOの説明に誰も異議を唱えなかった。分かるはずの無いCDOについての質問も無かったという。やはりこの9人も独立役員の要件を満たしている社外取締役だった。


以上からすると、独立役員の要件を満たす社外取締役を選任すればコーポレートガバナンスが向上するのではなく、どんな制度においても如何に機能させるかに係っているのだと思います。
悪戯に制度を変えて屋上屋を積み重ねるのではなく、今の制度をより有功に機能させる仕組みづくりに取り組んでいくべきではないでしょうか。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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