北陸監査実務部会 月刊監査役熟読部会

月刊監査役3月号をベースに次の活発な意見が交わされた。

【独立役員について】P3、P4
・独立役員候補者に依頼に行くと、なぜそのようなことが必要なのか問われる。何が変るのかと言われるが、形式的なものであり実質変らないと答えている。
・今回は形式的なものだが、いずれ社外取締役強制適用の流れの遡上にあると思う。
・会社法では監査役は取締役の職務の執行を監査する、取締役会は取締役の職務の執行の監督を行う、となっているが、監査も監督も変るものではなく、監督の強化のために社外取締役を強制するのならば、日本固有の監査役制度を廃止するなど、全体を見直す必要がある。
・組織ぐるみの不正を防止するためには、社内常勤による対話や監視が必須であり、独立役員の効果については疑問。
・監査役の監査領域をどこまですべきかだが、妥当性についても行っておれば、社外取締役は不要だと思う。違法性監査としての手続きチェックだけだったら、社外取締役が必要。
・手続きチェックだけだったら会計監査人で充分ではないか。
・取締役はAが良いか、Bがもっと儲かるか、といった議論になるが、監査役はこの案はこんなリスクがあるとかこんなコンプライアンス上の問題が懸念されるとかの指摘をすべき。
・リスクは法的リスクだけでなく、事業リスクについても指摘すれば限りなく妥当性監査になる。
・最初に金融庁とか経産省の審議会が素案を出して東証が一部を採用し、それが金商法に載って有価証券報告書に書くようになり、会社法に影響する。そういう流れになってくるのかと思う。
・日本の官僚制度の一番悪いところ。会社法は商法から来て法務省が管轄、金商法は有価証券取引法から来て金融庁の管轄、同じ会社を管理する法律ながら全然繋がっていない。だから二つの解釈が生まれてしまう。
・株主だけでなく従業員、お客さま、地域社会を含めた全てのステークホルダーを対象にバランスよく会社法を考えていくべき。
・P3L7で「貯蓄から投資へ」、P13右下からL6でも「貯蓄から投資への流れと上場会社等のコーポレートガバナンスの強化は密接不可分の関係にある」とある。これからすると独立役員の目的は株主だけを見ているといえ、偏った動きだと思える。
・一方でコーポレートガバナンスの強化のために監査役を強化すべしという動きもあり、それはCSRに近い動きに思える。
【独立役員】P92
・別府先生の内容も良いが、非常に読みやすくし工夫して書いてありとても良い。
・東証の3つの類型が書かれているが、日本の企業形態として疑問。委員会会社も殆どが取締役と執行役を兼務しており、社外取締役を中心とした取締役会は無い。社外取締役と監査役が連携している組織も無いと思う。東証の対応の仕方は欧米を前提としており、日本の企業文化を理解しておらず問題。

【取締役会の活性化】
・監査報告の最後に取締役の職務執行は相当である、と記載する判断の一つとして、取締役会、経営会議の議案ごとにA、B、Cを付けている。Aは相当、Bは概ね良好、Cは不可としており、Cは今まで無い。充分に議論を尽くされていないものはBを付けている。
・きちんと調査しているか、リスクを確認しているか、などについて指摘している。
・違法性の監査だけなのか、妥当性の監査に踏み込むべきかが難しい所だが、適法性判断は法律や定款・基準とのチェックであり、妥当性は経営判断の原則に合致しているかどうかではないか。
・取締役会の監督責任も監査役の監査責任も、執行がよほど常識外れでなければ問題視されない。事前にきっちりと準備していれば良い。
・社内取締役は他部門の事についてはほとんど意見も質問も言わない。そこを中立的な立場の監査役が牽制球を投げておくことが必要。
・経営会議では議論するが、取締役会では社外役員が入るので、ほとんど意見も質問も出ない。
・日本の取締役会は社長から任命されているので、社長に反旗を翻す人はいない。意見を出すのは監査役くらいしかいない、と講演会でも聞いた。
・監査役がリスクについて確認するなどして、取締役会、経営会議を活性化することが必要。

【会計不正の防止】P66
・2月号新任監査役のための早分かり会計講座で、「日本の経営者の半分以上は会計基準を守ろうとしない」と書いてあったが、それを予防するのが監査役の役目。地面の下で動いていることを如何に見つけ処置するかが大きな課題。棚卸の評価など、ストライクゾーンがどこかを知っておく必要があり、新任監査役だけでなく古手の監査役にとっても重要。
・組織的に循環取引をやられたら、発見は困難。深みに嵌ってどうにもならなくなって爆発する。お客さんのところに調査に行くわけにも行かない。
・社内の雰囲気がおかしいとか、同業者は悪いのに当社だけ良いとか、良い動きは無いのに決算が良いなど、勘を働かせるほかは無い。
・会計監査人も義務として見るが、全てを見ているわけではない。月に一度だけ来る社外役員に求めるのも困難。常勤の社内監査役が勘を働かせるしかない。
・担当者が一番分かるはず。それが誰に言うかだ。社長が陣頭指揮をして、上司が携っていると誰にもいえない。監査役に言ってくれるようにしなければいけない。
・誰にも言えず、反社会的集団に情報が流れると、ゆすりの種になり、大きな経営リスクになる。
・銀行ではいろいろな企業の決算を見るが、諸勘定を見ると数字をマッサージしてるのは分かる。実態は税務署に出して、銀行には嘘の決算を出してくる会社がある。しかし、内部の資料も外部の資料も一致させて、きちんと税金を払って数字を作られるとなかなか分からない。
・京セラの稲盛さんが必ずダブルチェックをしなさい、と言っておられますね。現場の仕事をどうやってダブルチェックするかですが、現物のチェッカーと伝票をチェックする人と経理の支払いをチェックする人を分ける事が必要です。
・ダブルチェックは仕事が増えるかと言えば、必ずしもそうではなく、やり方によっては効率を上げながら品質を上げることが可能と思う。
・ダブルチェックが効き難いのが出張の清算や時間外勤務。北海道の闇専従問題がそうだ。特に、予算を消化するために、今月(3月)は要注意。
・東京では定期を支給するときに、会社からは一番安い路線の費用を出す。
・東京で、タクシーが金額の入っていない領収書をくれる。
・メーターをセットするのを忘れました、と言って印刷した領収書をくれない運転手もいる。
・飲み屋でも宛名も金額も書いてない領収書をくれる店がある。
・出張は切符を渡すとか、カード決裁によるキャッシュレスにするのが有効
・メーカーからの展示会招待は、旅費や宿泊費など5万円も包んでくる事があるが、それは会社の収入にするようにさせている。
・不正防止には異動が一番有効。異動させた途端に不正が発覚することがある。
・同じ人がやっていると伝票の改竄が発生することがある。
・異動は何年周期が妥当か。
・3年だろう。1年目は一生懸命取組んで、2年目は慣れて、3年目はきちんと整理して引き継ぐ。
・伝票をたまに見ているが、交際費など比較してみると怪しいものが見えてくる。
・1件20万円を超える接待は事前に社長の決裁を取る仕組みとしている。
・冠婚葬祭の領収書はどうしているか。
・領収書をもらえないので、本人申請。
・香典は、お礼状を付ける。ただし10万円を申請して8万円しか出していなくても分からない。
・稲盛さんは「動機善なりや私心なかりしか」と言っておられるが、なかなか言える言葉ではない。
・稲盛教とか言われていますね。アメーバ経営とかも聞きましたね。

【役員報酬の個別開示】
・キャノンの御手洗氏は会社内部のことを社外に言うのは如何なものか、と言っておられる。欧米では個別開示していると言われるが、日本になじむ制度なのか。
・日経の論調では所得に見合う仕事をしているならば、公開しても良いのではないか、と言われる。
・1億以上の報酬がある会社は北陸には無いのではないか。
・アメリカの企業経営者は自分の収入を増やそうと言うことに汲々としているが、日本の経営者は如何に会社を良くしようかに命を掛けている。そこを金融庁はしっかりと踏まえる必要がある。
・社長と社員の収入格差はアメリカと日本では全く違う。
・オーナー会社は報酬よりも株の配当のほうが大きいのではないのか。
・わが社の経営者は財団を作り、所持していた株をそこに寄付し、社会事業を行っている。清水建設やブリジストン、サントリーなどそういう会社が日本に結構ある。(素晴らしいー)
・わが社も、財団を作って、毎年10人くらいに奨学金を出している。しかし、昨今の景気低迷によって配当や金利が減り、財団の経営は大変なようだ。
・ストックオプションと言う制度は非常によい制度だと思う。企業価値を上げることにより、社員も株主もみな喜ぶ。(ただし、中立的立場である監査役は対象外)

【独禁法について】P18
・P21合意からの離脱、とあるが、談合の仲間に入らないと仕事に入れないし、入ると発覚したときに一網打尽で捕まるとあるが、難しいものですね。
・談合すると価格は下げずに済むし、順番に仕事は回ってくるし、と言う事でしょうね。
・ただし、摘発されると課徴金など3つくらいの罰金を取られて、潰れかねない。儲からないわりにリスクが非常に高いので、最近はやらないのではないか。
・談合したから必ずしも儲かっていたとは言えず、次の順番で儲けるから今回は赤字でも受けると言う事もあったようだが、次が確実でないので入札に参加しないと言うことも出てきたようだ。
・総合調整方式と言って、コストは8割であとは技術力などを加味して決めているようだ。ただ、市町村などは地元の中小を守るためにやっていないようだ。
・実際に入札価格は若干高くても技術提案内容が評価されて落札した例がある。
・民間ではどうなるのか
・契約書の中に必ず文言を入れて談合を排除している。

【漱石と監査役】P98
・非常に興味深かった。

【その他】
・月刊監査役のほかにどのようなものを見ておられますか。
・商事法務を見ている。マニアックだが総会対策に非常に良い。各県で株式懇談会が開催される。
・商事法務の別冊というのが昔あって、変ったことがあると掲載されるので、よく見ていた。
・経営財務も見ている。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

FC2カウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール

新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード