UFJ銀行の争奪戦

「ビジネス法務の部屋」P112にライブドア・ニッポン放送によるフジテレビ買収案件については社外取締役が機能せず、三井住友によるUFJの敵対的買収事案については機能した、と書いてあるので、まずは良好事例と言われるUFJについて調べてみた。

銀行の合併について何がなにやら良く分からぬので経緯を調べてみると、すったもんだの歴史ですね。
1998年 あさひ銀行(現りそな銀行)と東海銀行が合併し、さらに大和銀行が参加する計画だった。
2000年 三和と東海の両会長会食を経て、大和、あさひが外れた。(あさひは経営危機により2002年大和銀行の傘下に)
2002年 三和と東海が合併し、UFJ銀行が発足した。
2003年 UFJは金融庁より多額の不良債権処理不足を指摘される。
2004年5月 不良債権の損失引き当ての大幅積み増しにより4000億の赤字。寺西頭取は責任を取って退任。
   5月 自己資本比率8%が困難なため、UFJ信託銀行を住友信託銀行に3000億円で売却すると発表。
   7月 上記の撤回と、三菱東京との経営統合を発表。
   7月 住友信託は東京地裁に交渉差止め仮処分申請。UFJの異議申し立てを地裁は却下。UFJは抗告。
   7月 三井住友はUFJに5000億円の資本支援と統合比率1:1という破格の条件での統合を申入れ
   8月 東京高裁は地裁決定を取り消し、統合交渉を可とした。最高裁も妥当とした。
   8月 三菱東京からUFJへの増資7000億円と両行の統合について基本合意(統合比率1:0.62)
   9月 三井住友はUFJ・HD株300株を取得。株主総会での委任状争奪戦に。
   10月 銀行法違反(検査忌避)容疑でUFJの岡崎副頭取らが刑事告発される。
2005年10月 三菱東京FGがUFJホールディングスを救済合併
2006年1月 東京三菱銀行とUFJ銀行が合併し、総資産190兆円と世界最大の三菱東京UFJ銀行が発足
   6月 東京高裁の提案により、住友信託に対し25億円の和解金支払いで和解成立。
  
山口弁護士は、「UFJは東京三菱と三井住友とどちらを選ぶかについて、取締役会の構成が社内4名、社外3名であり、社内と社外の人数が僅差だったから取締役会で十分な審理への方向性が決まったものと推察される。」と述べておられます。
そうかも知れませんが、しかし上記の状況ではどちらを選ぶかについて慎重な検討を行い、きちんと説明出来なければ株主代表訴訟になりかねないと思います。
だから、社外取締役がいなかったとしても、十分な審理を行った(少なくとも行ったと説明出来るようにする)のではないでしょうか。

監査役として気になるのは、合併における各社の経営判断です。
・UFJの取締役及び株主は、なぜ統合比率1:1と魅力的な三井住友でなく、1:0.62の東京三菱を選んだのか。
・合併によって危機が回避されるならば、保有株式の価値が高いほうが株主としてはよいのではないか。
・なぜ東京三菱も三井住友も大きな不良債権を抱えるUFJを、欲しがったのか。
・東京三菱にとって7000億円も出して買う効果をどう算定し説明していたのか。

結果として、この合併によって誰が得をしたのでしょうか
・三井住友の3000億円から東京三菱の7000億円へと大幅な増額を勝ち取ったUFJでしょうか。
・UFJを吸収した東京三菱でしょうか
  三菱東京UFJは2007年に三和時代からの不正融資により一部業務停止命令と業務改善命令を受けました。
  2008年度の決算では保有株の損失が4707億円、不良債権の処理費用が2916億円となった。
  株価は合併時点で1300円程度だったのが昨日は484円になっています。
・合併できなかった三井住友でしょうか。
  2009年にシティグル-プから日興コーディアル証券を取得すると発表
  株価は2007年は12000円程度だったのが、昨日は3085円です。桁が違いますがどちらも大幅に下がっています。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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