北陸監査実務部会C班 月間監査役熟読部会

北陸監査実務部会を石川県白山市(株)ナナオで開催

まず会社説明を伺い、工場見学をさせて頂く。
1968年に羽咋電機として創業され、1981年に白山市に工場建設、電子基盤などを製造していたが、1985年にコンピュータ用のCRTを製造開始し、今のEIZOにつながる。
創業から42年しかたっていないが、グループ従業員は1500名弱、売り上げは約750億円という超優良企業に発展している。
工場では液晶モニターの組み立て、検査、梱包、出荷を行っていたが、非常にきれいで静かな環境であり、工場というよりは研究所といった雰囲気だ。
製造品は頻繁に変わるため、指示書は組立員の前のモニターに表示され、組み立てや検査の結果は機器ごとのRFIDで管理されて記録されている。
社員は若い人が多くとても活き活きと仕事をしておられた。

そして実務部会。
【日本監査役協会の全国会議】
・午前中は資生堂の社長からガバナンスについて紹介されたが、内容は資生堂の宣伝が目立った。
・昨年秋の会議でも資生堂の社内監査役から紹介があった。
・なんで資生堂の話が多いのかな?
・午後は会社法の内部統制システムへの取り組み、会計監査人の選任や報酬決定方法、内部監査部門との連携、株式の第三者割当時の監査役の対応などについてパネルディスカッションがあった。

【海外訴訟リスクへの対応】
・海外子会社や販社の監査に行ったが、コミュニケーションを良くしたいと言っていた。
・向こうでは監査役制度はないと聞くが、監査役監査と聞いて分かってくれましたか。
・ほとんどの会社は書類を用意してくれて対応してくれた。Auditorが来ると言う事で緊張していたようだ。
・内部監査部門と思っているかも知れない。
・海外の弁護士は絶対に引かず、負ける事が分かっていても判決が出る直前まで「勝ちます」と言い続けると書いてあるが、日本はどうか。
・日本は裁判官が和解に持っていく事が多い。1裁判長が抱えている数があまりに多く、判決まで持っていくと時間がかかり過ぎこなせなくなる事と、判決まで行くと公表されて後からいろいろと言われるのが嫌ということもあるかもしれないが。
・特許侵害に関する裁判が多いが軽微なものが多く、ほとんど和解で終わる。
・実際にはどんな進め方になるか
・次回和解しますから大体こんな所でどうでしょうかね、と裁判長が提案する。次はどうしますか、決めますよ、その場で決めますよと言われるので、どのくらいだったら良しとするレベルを持っていく必要がある。
・日本の弁護士費用は時間給か
・着手金と日数で決まり、裁判官が「和解費用のうち訴訟費用は双方で持つ」とか決めてくれる。
・50万円なりの着手金を取ると、沢山の案件を抱えている有能な弁護士は、和解で早く済ませて次の案件に行こうとなる。
・最近は判例を検索するソフトもあるようだ。
・アメリカでも有能な弁護士は多くの案件を抱えているので、和解で早く終わらせようとする。有能でない弁護士は暇なので、いつまでも引っ張り、最初単価が安いと思っても結局高くついてしまう。
・出来るだけ有能な弁護士を雇うことが重要だ。弁護士費用もそうだが、弁護士によって白いものも黒くなってしまう。
・諸石弁護士の書かれた「危機管理役員手控帖」(日本監査役協会発行)は、とても良い本でバイブルにしている。企業内弁護士として企業の実態や企業側の論理を良く知った上で書いておられる。

【IFRS導入による企業経営への影響】
・先日神奈川大学の田中先生の所に伺ったが、包括利益の導入などについて驚くべき状況をお聞きした。
・欧米はものづくりをしなくなってきたので、本業の結果に保有株式の時価をプラスした結果のみ出す包括利益を提案している。懸念されるのは、汗水たらすよりもバブリーな世の中にしようとするインセンティブが働くこと。
・そういった方向性についてはフランスのサルコジ大統領が厳しく批判している。アメリカも導入時期を遅らせるようだ。各国とも連結はIFRSになるとしても個別決算は各国固有の方式を継続し変えないようだ。
・そういった中で、日本だけが個別も含めてIFRSに移行することを考えており、はしごを外される危険がある。
・そんな状況についてこそ、月間監査役で紹介してほしい。
・経営者もIFRSの仕組みについて経理部門から聞くが、なぜそうしなければいけないかについて知りたがっている。
・日本の特に金融機関の中で、IFRSをにらんでリスクの大きい株を売却しておこうという動きが出ている。
・PLを外したら会社の本当の動きや努力結果が見えなくなってしまい、問題だ。
・今まで保有している株を投資目的と政策目的で分けていた。協業のために株の持合をしている会社の株式まで(売ることは全く考えていないのに)上がり下がりする時価で評価して毎年の決算に反映するのは不適切だと思う。
・保有している理由を株主総会で説明するために、実取引を始める動きもある。
・アメリカの経営は資産の効率をいかに高めて配当するかが主眼だが、日本は安定・永続的に経営することが主眼で次が配当になっており、企業の考え方が違う。
・日本の企業会計審議会がもっと意見を言っていく必要がある。

【独立役員による経営監視体制】
・各社の独立役員について紹介
・大阪で家近弁護士の話を聞いた。「独立役員は一般株主のために働かなければいけないと言われているが、3月に東証から一般株主の定義が出てきた。それは通りすがりの株主だという。売買をして儲けて過ぎていくファンドなり、デイトレーダーなりだという。そういった定義ならば、独立役員の就任を断ろうと思っている。独立役員は株主総会で選ばれるが、実質は安定株主である大株主によって選ばれ、そして通りすがりの株主のために働かなければいけないのは理屈に合わない。」と言っておられた。
・田中先生によれば、株保有したら3年間は売却を禁止するという案もあるという。
・そうすれば健全な状況になるが証券会社はあがったりとなる。
・独立役員が一番働かなければいけないのはTOB(株式公開買い付け)であったり、MBO(経営者や従業員による企業買収)であったり少数株主利益の保護だと言われる。サンスターや吉本の時に少数株主の権利が阻害されたことなどを防止するのが目的かと思う。
・株式の第三者割当をするときは監査役は専門家の意見を聞いてきちんとジャッジしなさいよ、と有識者懇談会答申対応にあったけれど、かなり高度な判断となりますね。
・ストックオプションを入れるときも現在価値を決めて単価をどうするかは東京の専門機関に高額な費用を払って評価してもらう必要がある。そうしなければあとでストックオプションを実行したときに、あの時の価格はおかしいと言われかねない。
・家近先生は独立役員の事で株主総会が紛糾することはないでしょうとは言っておられた。

【監査役のためのリスク感性向上講座】
・日本公認会計士協会で不正事例を分析し「上場会社の不正調査に関する公表事例の分析」として紹介されている。
・北陸監査実務部会でも「リスク感性向上プログラム」として、ここに紹介された事例を参考に、自分の会社に照らし合わせて議論すればどうか。
・リスク感性を高めるために訓練することと徳谷氏は言われるが、そう言った場はなかなか無いので、良い試みだ。
・先ほど見せて頂いたナナオの工場において、液晶を最終テストする人が訓練を積み重ねることによって不良の発見率が格段に上がっている事例があった。
・7月から始まる新部会において月刊監査役熟読とあわせて毎月1例ずつやってみましょうか。
・この公表事例において不正は会計監査で見つかったものか
・会計監査8、社内監査6、日常取引での不正発見4、不正関与者の自主申告4と、会計監査で全て発見出来ている訳ではなく、内部告発は大事。
・社員は不正した事例は無く(ミスはあるが)、経営者が行うものが多い。
・国税局の人から聞いたが、収入印紙の発行が多い月が年に2回あり、それを追いかけると横流しが見つかったそうだ。

【同族企業の我慢強さを見習う】
・「同族企業こそが日本経済再生の原動力」という内容は嬉しかった。
・同族企業は上場すべきか
・公開し、四半期ごとに決算&開示し、内部統制なども出すことで外から見られる緊張感が生まれ、ガバナンスが高まる。
・一方、その手続きのために大変な労力がかかり、意思決定もオーナーの一喝でと言う訳にも行かず遅くなる。
・会社が急成長している時は上場せず、安定期になったら上場すべきではないか。非上場のほうが小回りが聞く。
・上場による創業者利益はシンガポールなど外国では大きいが、日本ではあまり見込めない。ベンチャーキャピタルからの資本も集まらない。
・不動産会社など良いときと悪いときが極端な会社は、上場すると良く見せようと無理するから上場しないと言っていた。実際に上場して無理して倒産した会社も多いようだ。
・「自分の会社」を「社会の公器」として永続的に残そうとするかどうかだ。
・相続を考えて上場すると言うこともあるのではないか。将来的に会社を残そうとするなら上場すべきではないか。
・会社法は非上場も上場も合わせて決められているが、全く別物だと思う。
・会社の存在理由が全く違って来る。
・日本では投資と言うことを教えられていない。貯蓄を大事にする国民性。公開会社の株を買ってその会社を育てようと言う考えも無い。
・最近のIPO(新規上場)はどうか
・最近高い株価が付かない。バブルの前に会社の資産が何も無いソフト会社が沢山上場して一般株主に損をさせたため、皆警戒している。
・同族企業が良いかどうかは社長にかかっている。
・息子でなく、娘に継がせる優秀な人材を選んで婿に選んで社長にする企業が繁栄していると聞く。
・和倉温泉の加賀屋でも娘さんが続いたが、息子が成長し、日本青年会議所の会長を務めるなど実力を付けている。
・3代続けて優秀な人が出てくることはまれであり、優秀な外部の人を社長にするためには上場会社でなければ難しい。
・ビジネスモデルが時代にあっていれば良いが、どんどん変り、経営者は大変。

以上、今回も活発な議論が百出しました。次回は6月2日に月刊監査役の編集長をお迎えして懇談&懇親の予定です。

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新米監査役

Author:新米監査役
常勤監査役を7年間勤めさせて頂きましたが、平成28年6月の株主総会で退任しました。
監査役として悩み検討したことを「監査役の覚悟」を7人の共著で出版させて頂き、感謝しております。
なお、現在は某社の非常勤社外取締役と某校の非常勤監事を務めており、経営のあり方について考える立場にある事、「監査役の覚悟」で「新米監査役のつぶやき」管理人と自己紹介している事から、このブログを継続させて頂きます。
ブレーキはより速く走るためにある、とシュンペーターが言ったように、企業の永続的発展のために、監査・監督について、今後も考えていきたいと思います。
ご指導の程どうぞよろしくお願いします。

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